安倍がGSOMIAを決してあきらめない理由

「韓半島有事時」を心配している、日本の本音と韓日軍事情報保護協定

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私たちは、大きく注目していなかった事実だが、1950年6・25戦争当時、韓国には様々な事業などを媒介に滞在していた日本人が多くいた。戦争初期、奇襲的な北朝鮮の南侵に3日でソウルが陥落されるなど、状況が厳しくなると、朝鮮半島滞在の日本人たちも戦火を避けて故国への帰還を図った。しかし、当時の連合軍(GHQ)占領下にあった日本政府は、彼らの帰還命令などを制御できず、最終的に彼らのほとんどは「自力」で避難を実施、釜山や木浦など、日本と近い港に集まった。そして、そこに停泊していた日本の民間貨物船などを通じて日本に帰還した。

この時の煩雑な経験は、日本人に「韓半島有事の際、日本人救出はどうなる?」という深い課題を付与することになる。そして月日が過ぎ、韓日国交正常化以来、両国の民間交流が拡大され、同時に北朝鮮の軍事的脅威が増大するなど、複合的な状況が重なり、「韓半島有事の際の日本人救出」の課題は、再び水面上に浮上する。日本の防衛研究所が発刊した報告書「朝鮮半島有事の際の避難をめぐる問題」(2013.5.15)によると、日本政府が「韓半島有事の際」の検討を始めたのは1993年に北朝鮮の核開発疑惑に伴う危機がそのきっかけだった。

続いて、1996年には橋本龍太郎内閣によって韓半島内の日本人の保護と救助、避難民対策などが見え課題として本格的な扱いになる。2010年には、日本の菅直人首相が「韓半島有事の際の日本人救出」のために韓国に自衛隊を派遣させるという意思を表明し、韓日両国の論争を呼び起こした。

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「韓半島有事の際の日本人救出」に関する議論に

最近の議論はどうだろうか?安倍内閣発足以降、「韓半島有事の際の日本人救出」、「自衛隊派遣」などの検討と要求は日増しに強化されてきた。ところが、特記すべき点は、このような議論がある特定の時点に至って爆発的に増加し始めたということだが、これは2016~2017年の間の時期に見つけることができる。もっと正確に言えば、2016年3月には、日本自衛隊の「集団的自衛権」を規定した「安保法制」が施行された時点からだ。

「(韓半島から)日本人の安全確保のための手段として必要であると判断される場合には、政府が「自衛隊による在韓日本人輸送」の実施を検討することができます。具体的な検討状況は仕事の性質上、答えを保留しますが、とにかく、必要な場合に与えられた役割を果たせるよう、引き続き体制の整備に努めるとともに、必要な訓練を実施して在外日本人の安全確保に万全を期していくよう考えています。」-日本防衛大臣の記者会見(2017.4.21)

「日本政府は、朝鮮半島に居住している日本人を保護、避難させるために必要な予防措置を常に研究してきました。」-安倍首相衆院公開発言(2017.4.19)

日本の政治指導者たちのこのような発言は、事実上、韓半島の戦争危機とそれに伴う自衛隊の朝鮮半島進出を示唆していた。これは当時、韓国外交部が遺憾を表明するほどの尖鋭な議論のものもあった。

このほか、2017年10月に日本衆議院選挙当時自民党は「在外日本人救出」に関する内容を公約として提示したがこれも「韓半島有事の際の日本人救出」を背景に置いているという疑惑が起こって議論が広がったりもした。

「韓半島内の日本人救出」とGSOMIA

前述したように、安倍内閣で「韓半島有事の際、日本人救出」の議論に火が点き始めたのは、日本の安全保障法制が稼動された2016年~2017年頃からだ。しかし、偶然にもこの時期は、韓国と日本が締結した韓日軍事情報保護協定、すなわちGSOMIAが締結、可動された時にも一致する。

特に「韓半島有事の際の日本人救出」についての議論が最も活発に行われた2017年は、韓日両国が最も多くの軍事情報交流していた時期でもある。去る1月ソン・ヨンギル共に民主党議員が配布した資料によると、2017年に韓日両国が交流した軍事情報は全部で19件、韓日両国が3年間での交流全体の情報件数の79.1%に達している。

まとめると、GSOMIAを介して提供された軍事秘密のほとんどが2017年に偏っていて、これは日本で「韓半島有事の際の日本人救出」についての議論が最も活発に行われた時期、つまり2017年と正確に一致する。これに「韓半島有事の際の日本人救出」と日本がGSOMIAを介して取得可能な情報には、かなりの接点があると推定して見ることができる。

GSOMIAが締結された当時(2016年11月)、日本のメディアはどのような期待と反応を示しただろう?(関連記事:韓日紛争、韓日軍事情報保護協定に与える影響は?)2016年GSOMIA締結当時、日本の「読売」「朝日」「毎日」など主要日刊紙は一斉にGSOMIAを通じて日本が得ることができる利益と情報について特筆した。これらの一般的な論調は GSOMIAを通じて「韓半島有事の際の日本人救出」の活動に必要な情報を得ることができるというものであった。極右「産経新聞」の場合には、もう一歩踏み込んで、「韓国軍の配置と使用可能な空港・港湾に関する情報を得るためにはGSOMIAが必要だった」という、明示的な報道(2016.11.23)を出すこともした。

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このようにGSOMIAは、これまで遅々として進まなかった「韓半島有事の際の日本人救出」問題を具体的に解決してくれることができるカードとして浮上した。日本人が韓半島から避難しようとしたときに経なければならない主要拠点の情報をGSOMIAを介して取得することができるからである。つまり、韓国にいる日本人の安全を守るために活用する基盤資料を獲得して実行計画を高度化させることができるものである。

もちろん、日本がこのような情報を欲しいといっても韓国側は情報の提供を拒否することができる。しかし、GSOMIAの協定効力が生じている限り、日本は状況に応じて、軍事情報を要求することができる窓口を持っているものであり、加えてこれは韓半島有事の際、自衛隊の活動と連携することができる重要な橋頭堡となる。

GSOMIA締結後、韓国と日本が詳細にどのような情報を交換したのかは知ることができないが、実際には日本は以後、「韓半島有事の際の日本人救出」についての議論をかなり進展させたと見られる。つまり、具体的な実行計画が検討された痕跡が見られるということだが、以下は昨年(2018.1.16)日本の小野寺五典防衛大臣と日本の記者の問答内容を抜粋、再構成したものである。

Q:韓半島有事の際(在外日本人を)「対馬」に一時的に退避させ、そこから往復輸送することを政府が検討、自衛隊と米軍が協力実行するという報道があるが?

A:朝鮮半島有事の際、日本人の保護と避難が必要な場合の対応については、常に様々な準備・検討を行っている。具体的な内容については、日本人の安全に重大な影響を与える可能性があるので、答えは保留。

Q:対馬は韓半島から約50km、非常に近くに位置している。このような観点から対馬は日本人を避難させるときに重要な拠点になると考えている?

A:本来、私たちとしては、対馬は日本の安全保障上、特に国境に隣接した離島の一部だと考え、安全保障上も重要な場所であると認識している。自衛隊がそこから任務を遂行するものと認識している。

これは2018年1月にあった防衛大臣の記者会見である。自衛隊の推進拠点として対馬が言及されているなど、一見してみても、2017年に比べて進展した計画が構築されていることを推し量れる。

それだけではない。日本はこの連携した「在外日本人保護措置訓練」、「航空自衛隊C- 2輸送機国外運航訓練」などを2017年後半から本格施行している。様々な試みを通じて「韓半島有事の際の日本人救出」の腹案を立てているのだ。

これらの点をあわせて、当時の日本が「韓半島有事の際の日本人救出」という騒がしい課題とGSOMIAをかなり密接に関連させてきたことを知ることができる。

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GSOMIA破棄に困惑する日本

このように「韓半島有事の際の日本人救出」は、日本が朝鮮戦争以降、抱えていた悩みの種であった。本格的な議論が始まった1990年代を起点に、2010年菅直人首相などを経て、今の安倍首相のもとに、そのボールが渡されたのだ。

その過程の中で、最終的に締結されたGSOMIAは「韓半島有事の際の日本人救出」という課題に中間点を付ける決定的協定であった。これに対する根拠として、安倍内閣が2017年度からこれに対する議論を非常に精力的に稼動して進んだ事例を介して話している。

北朝鮮の脅威が高まるにつれ情報交換が必要な局面を迎えているが…

「文在寅政府」になって日本が必要とする情報が「人質」になる可能性もある

※[産経新聞]加藤達也、[韓国新政府を語る。「日本は危機の中にある」]報道(2017.6.16)

「産経新聞」の加藤達也前ソウル支局長は、これに加えて、「自衛隊の朝鮮半島進出が挫折すると、韓国の5~6万人の日本人が見殺しの危険にさらされかねない」という、極端な展望を出した。このような発言は、GSOMIAの破棄がもしかしたら「韓半島有事の際の日本人救出」計画を挫折させないかという懸念の声をよく表わしている。

実際、今日のように尖鋭な経済報復局面でも、日本はGSOMIA破棄の主張をほとんどしていない。日本の官房長官、防衛大臣、外務大臣など政府の指導者たちは、GSOMIA維持に対する希望を確かに表わしていて、日本のメディアでも、日本が立ち上がって破棄を主導しなければならないという主張はほぼ見当たらない。「産経新聞」が運営する極右オピニオンサイトIRONNAでさえGSOMIAを破棄しようという主張はほとんど取り上げていない。特記すべき現象と言わざるを得ない。

当然、安倍首相としても悩みになるだろう。自分が犯した経済報復によって、日本がこのような心血を注いで推進したGSOMIAが破棄される可能性がある危機に置かれたことが。そしてこれは「韓半島有事の際の日本人救出」という計画にも支障が生じる可能性があることを意味する。もちろん、自衛隊の韓半島進出はいかなる理由でも許されない事案だが。

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Source: かんこく!韓国の反応翻訳ブログ