【最終回】私は人を殺したことがあります「ある殺人犯の手記」 #6

歴史
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どうして自首しなかったのか。

きっとあなたはそう疑問に思っているのでしょう。
実を言うと自分は、交番に行って自首しようと思ったことがありました。でも駄目だったのです。
交番も店長に見張られていました。
自分が交番に行くと、ひさしには大きなカラスが止まっていました。
自分を見つけるとカラスが「カアッ!」と鳴きました。
上を気にしながら自分が交番に入ろうとすると、交番にいた二人の制服姿のお巡りさんが立ち上がってこっちを見ています。
「もしかしておれは指名手配にでもなっているのか」と自分は一瞬思いましたが、それにしてはようすが妙でした。
若い方も中年の方も、お巡りさんはどちらも目を大きく見開いて、右手でこっちを指さしているのです。
二人とも口を魚のようにぱくぱくさせて、台所のガスでも洩れているようなしゅうしゅうという嫌な音を立てていました。

自分は恐ろしくて尻もちをついてから、一目散に交番を飛び出しました。



けれども、外も奴らでいっぱいでした。
通行人が交番の入口を取り囲むようにして立っており、みんな右手で自分を指さして、喉からしゅうしゅうと音を立てていました。…いや、そうではありませんでした。
しゅうしゅう聞こえると自分が思っていたのは、小声で「どうして」、「どうして」と言っているのでした。
自分は声にもならないような変な声を出して、その場に立ちすくむしかありませんでした。
全員無表情で、口をぱくぱくとさせています。
二列目に生きていたときの店長の顔を見つけました。
びっくりしたとたんに「カアッ!」とカラスの鳴く声がして、自分は我に返り、「ごめんなさい、ごめんなさい」「許してください」と大声で言いながら無茶苦茶に走って逃げました。

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Source: 不思議.NET

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