私は人を殺したことがあります「ある殺人犯の手記」 #5

歴史
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しばらくのあいだは、自分の財布にあった金や店から持ち出した金、店長の財布に入っていた金で、安い宿に泊まっていました。
これからどうするか…。考えてみれば、自分はもう元の部屋には帰れません。
これから金をどうすればいいのか。実家に連絡したり、銀行を使ったりすればすぐに居所が警察にばれてしまうと思いました。
もう誰も頼ることはできないし、まともな住所もありません。
どうしてやってしまったのかわからない殺人のせいで、自分はいまやホームレスに等しい存在になってしまいつつある。
ビジネスホテルの受付で住所を書かされそうになったときに(実際、それは世間知らずだった自分にとっては盲点でした)、とっさに出鱈目な住所と名前を書きましたが、いつまで誤魔化せるか。
身分証の提示を求められたらおしまいです。
狭いベッドで、そんなことをぼんやり考えていました。
深夜二時を過ぎていましたが、何となく点けっぱなしにしておいたテレビからは、自分のしでかしたことを報道するニュースは聞こえてきませんでした。
代わりに、日韓ワールドカップのサッカーの試合のようすを伝える能天気なアナウンサーの声が聞こえてきました。




気が立っていた自分は、テレビを消してリモコンを放り投げました。

疲れ切っていたのでしょう。自分はいつのまにかうとうとしていたらしく、妙な夢を見ました。
自分は草の上に寝そべっていました。空がすっきりと晴れていて気持ちよかったのを覚えています。
北関東の強い風に、上空に少しだけ見える雲がどんどん流されていきます。

そのときでした。

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Source: 不思議.NET

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