キキーっという音がした。私は瞬間的に振り返った。
自転車が車道に弾き飛ばされ。転がった男の上をトラックがタイヤでしっかりと踏みつけて通りすぎたあと急停車した。
私はただあんまりの事態に交通誘導の警備を学生時代にやってた事を思い出し。
慌てて車道に飛び出すと喉が割れんばかりにピピーッと叫んだあと、片手を上にしっかりとあげて手を振ってから踏み切りの真似事のごとく腕を地面と水平にした。
夜だったから見えているのかどうか心配だったが、車間があいていたのも幸いして辛うじて後続車をとめることはでき。
そのあいだに私はぴくりとも動きもしない被害者の元へと駆け寄った。
うっすらあいた目は混濁していて、辛うじて息はあるようだったが医者ではない私にどう処置していいかわかろうはずもない。
とりあえず歩道まで運ぼうとすると、別の通りがかりの人がが下手に動かすなと叫んだ。
トラックの運転手がおどおどと降りてきて、最初にぶつかった軽トラックの運転手も狼狽からたちなおったのか遅れてでてきて病院に電話をはじめた。
手伝う人間がいなかったため私はとりあえずその人を動かすのをやめてどこかで読んだことがあるので手に手を添えて耳元で大丈夫とささやきつづけた。
一瞬だけ目に光が戻り、彼は不思議と私を憎らしげににらみつけ、私がその意味を悟る頃には痙攣していた彼の体が痙攣もわずかになり。
辛うじて上下していた胸も上下をやめた。
目の前で命が失われたショックは計り知れないものがあった。
人間が肉塊に変わる瞬間は、以前みたものは祖母の危篤の際であったが。
言いたい事を言い残し、昏睡にはいったあと絶命したその死は安らかなものだった。
だが、その時の死は綺麗でなく、呼吸のとまった彼の口から未練がたちのぼっていくような印象をもっていた。
引用元: ・https://hobby7.5ch.net/test/read.cgi/occult/1166257709/
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Source: 不思議.NET
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