北朝鮮核交渉の序盤では、米国が機先を制した。北朝鮮自ら対話を求めて米国にアプローチし、トランプ大統領が首脳会談で応じた。南北米の3カ国だけが参加する終戦宣言も可能に見えた。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が中国と米国の間で「綱渡り外交」を展開するだろうという見方もあった。だが中国が反撃に出た。習近平国家主席は金正恩委員長を3回も呼び、戸締まりをして朝中同盟強化で対抗した。中国は、北朝鮮引き締めという観点から非核化交渉にいちいち介入し、これを引き延ばした。さらに終戦宣言、平和協定の議論を加速させ、在韓米軍撤収や韓米同盟弱体化に誘導し、米国が韓半島に確保している戦略的既得権を放逐しようとしている。中国の楊潔チ政治局委員(外交担当)が秘密裏に韓国を訪れて停戦宣言推進や高高度防衛ミサイル(THAAD)問題を話し合うなど、見えないところで韓国政府を懐柔しようとする動きもうかがわれる。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/08/10/2018081001809.htm
今からでも、韓国政府は南北交流より北朝鮮非核化に優先順位を置き、力を集中すべきだ。平和協定だけを取り上げてみても、非核化の実質的進展があってこそ米国議会の批准が得られる。米朝関係の正常化も同様だ。非核化は米国に任せきりにして、北朝鮮制裁の緩和をもたらす南北交流にばかり没頭したら、中国の立場を強化する羽目になる。米国は、南北交流を巡って北朝鮮制裁の例外を要請する文在寅(ムン・ジェイン)政権に対し、逆に「北朝鮮制裁注意報」を公に発令した。
中国がとにかく制裁解除を要求している場面で、韓国が中国の側に立つ理由があるのか。今は南北交流よりも、非核化のロードマップや時間表などを韓国が主導的に作り、米国を督励して北朝鮮・中国・ロシアを説得し、非核化を速やかにけん引する作業の方が急がれる。
中長期的には、米国との同盟関係を「北朝鮮以後」まで視野に入れつつ管理し、日本との安全保障協力もきちんとしなければならない。米国との同盟は中国の韓半島覇権掌握を防ぎ得る、最も確実な政策的装置だ。中国けん制を目標にしたアジア・インド・太平洋同盟の強化は、米外交政策における主流勢力の強力な合意事項だ。こうした人々と常にコミュニケーションを取り、韓国の戦略的価値と信頼度を高めなければならない。韓半島にとどまらず地域の安定に寄与し、地球的な問題に対処する地域同盟化、グローバル同盟化の作業もスピードアップさせてこそ、「北朝鮮以後」も韓米同盟の維持を正当化できる。
韓半島を取り巻く北東アジアに覇権国が現れるたび、韓国は自主権や安全保障上の利益保護で困難に直面してきた。北朝鮮の核交渉が進む中、中国側へ傾きつつある韓半島の安全保障の構図を、このまま放置してはならない。非核化の実質的進展が皆無な状態で終戦宣言、平和協定や南北交流を急いで進めたら、力のバランスはますます中国側に傾くばかりだ。韓国政府のスピード調節と慎重さが切に求められる。
金載千(キム・ジェチョン)西江大学教授(国際政治)
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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Source: おもしろ韓国ニュース速報