先週末に訪れた日本は、一時代を送り新しい時代を迎える準備で浮き立っていた。フットワークの軽い流通業者は「平成決算バーゲンセール」と「令和を迎える慶祝大割引」で間もなく10日間の連休を迎える消費者の財布をこじ開けようとする勢いだ。いつも多くの人々で混雑する東京都心の電子製品チェーン店の大型店舗には「令和おめでとう、平成ありがとう」と書かれた紙が張り出された。ライバルチームが正面対立したプロ野球中継まで「平成最後の対決戦」という文面で、視聴者の「本放死守」(リアルタイム視聴)を誘惑する雰囲気だ。来月1日が近づくほどこのような雰囲気はさらにヒートアップしていくことだろう。メディアでは分野別に30年4カ月間の平成(1989~2019)時代を決算し、新たな時代を迎える覚悟を固める記事が次々と出されている。
このようなお祭りムードの中で一時代が過ぎようとしているが、決着をつけられないまま新たな時代にバトンを渡そうとしている問題も多い。「史上最悪」という修飾語が付いている韓日関係が代表的だ。慰安婦合意履行問題と徴用工賠償判決などで韓日関係は水面下の対話まで断絶する状況に達した。
突き詰めてみると、韓日関係は普段は順調な航海をしながらも、歴史という暗礁に出会うと一日で危機に直面するパターンの連続だった。明らかに転がり落ちることが分かっていながらも岩を山頂に押し上げなければならないギリシャ神話の中の「シシュポスの運命」に韓日関係をたとえることもある。過去の慣性によれば、今の危機も適当な契機を迎えれば再び緩むだろうと期待することもできる。韓国政府が対日関係の改善に積極的に取り組まないでいるのもそのような経験則に基づく判断のためかもしれない。
ところが最近聞こえてくる話の中には「今回だけは日本国内の雰囲気が通常ではない」というものが多い。最近、筆者の手元に届けられた日本の雑誌に掲載された記事が日本国内の雰囲気を物語っている。日本の知識層が愛読しているという月刊誌「文藝春秋」4月号の表紙には「日韓断交完全シミュレーション」という見出しの特集記事のタイトルが出ていた。元駐韓大使をはじめとする日本各界の知韓派5人の座談会をまとめた記事だった。いつからか日本出版界では嫌韓または嫌中感情をあおる内容の本が一つのジャンルを形成するまで多くなったが、今まで「断交」という用語が権威ある出版物に公然と議論されたことはなかった。
日本の世論がどれほど悪化したのかを把握するために、日本政界である永田町の知人と現職外交官、学界・メディア界の知韓派の要人をソウルと東京の両方で取材した。表現の強さは違いこそすれ、彼らは異口同音に「過去とは次元が違う」と話した。「日本政府が韓国に対する対応措置を真剣に検討中」としながら「実際の行動に移す場合には(THAAD報復をした)中国と全く同じだと言われないように、国際社会が納得できる措置を選択するだろう」という話も出てきた。「問題の深刻性を韓国国内にしっかり伝えて状況がこれ以上悪化するのを防いでほしい」と要請する人もいた。彼らのうち、学者の立場で実名インタビューに応じた西野純也・慶応大学教授との問答を翻訳すると次のようになる。
--韓日関係は葛藤と回復のサイクルを繰り返してきた。今回もそうならないだろうか。
「歴史問題は過去にもあったが、最悪の事態は避けなければならないというコンセンサスによって、結局はうまく管理されてきた。だが、いまの日本政府と世論主導層の考えは『これ以上韓国を信じることができない』というものだ。慰安婦合意と請求権判決以外にも、意外にレーダー事件の波紋が大きい。近接飛行で論点を曇らせていく韓国の態度に対する失望が大きい」
--日本政府が報復措置を取る可能性は。
「訴訟の原告側が、押収された日本企業の資産に対する現金化措置を申請すれば、直ちに手続きを踏むことになる。そうなれば日本企業が目に見える損失を被ることになり、日本政府が何某かの措置を取らざるをえない状況になる」
2019年04月10日07時23分
https://japanese.joins.com/article/163/252163.html?servcode=100§code=120
https://japanese.joins.com/article/164/252164.html?servcode=100§code=120
「直接比較は難しい。ただ、日中葛藤は中国共産党が戦略的に管理をするので状況が破局に突き進むまで放置はしないとみていて、実際にそうなった。だが、韓日葛藤は感情的な側面が強く、どのように流れるか分からない。そのためもっと危険だ」
--最近の葛藤は従来の歴史葛藤とどのように違っているか。
「韓日両国社会の質的変化と国際秩序に対する認識の違いなどが複合的に作用して現れた構造的結果という点でだ。朴槿恵(パク・クネ)前大統領が天安門の望楼に登ったことから分かるように、中国の台頭という巨大な変化をどのように受け入れて対応するのかに対する認識と戦略が韓日両国で根本的に違う。これが韓日関係を遠ざけている遠心力として作用している」
--政治的経済的要因はないだろうか。
「最近20~30余年間、韓国は経済成長で国際社会の比重ある国になったという自負心を持つようになった。日本はその間、『失われた20年』の景気低迷と東日本大震災を経験して自信を失った。このような状況を食い込んで執権したのが安倍政府だ。両国の国民の心理的変化が韓日関係に変化を起こした一つの要因だ。進歩-保守の陣営対立がきっ抗した韓国の政治状況も韓日関係を難しくしている。進歩-保守対立が大韓民国正統性の根元に対する歴史論争につながりながら韓日関係にも影響を及ぼしている」
現地取材を通じて感じたのは、韓国を見る日本朝野の見方が過去とは全く違うというのが事実だったことだ。「断交」という極端な用語が政治家と時事評論家の口にのぼることからしてそうだった。このような雰囲気が韓国政府には加減なしでそのまま伝えられているかどうか気になった。ソウルで会った政府当局者の話はこうだ。
「韓国政府も日本の動向を時々刻々注目している。外交部では日本が報復する可能性があるという報告を上げている。産業通称資源部など経済部署では日本がそんなに簡単に報復措置を持ち出せないという意見のほうが優勢だ。青瓦台の判断もほぼ同じのようだ」
判断の根拠は簡単だ。今、韓国メディアに登場しては消える▼ビザ免除の撤回▼送金制限▼就職制限などの報復カード--は日本にも打撃を与えるのが明らかなためだ。たとえば、年間800万人の韓国人が日本を訪ねて観光収益を引き上げているが、入国ビザ免除を撤回すれば日本観光業界にブーメランになって返ってきかねないということだ。ところが他の関係者の口からはやや意外な言葉が続いた。
「青瓦台や経済部署の判断が合っていてほしいが、外交部の報告通りその反対の可能性にも注意を注がなければならない。ところが今、そのような声を傾聴する雰囲気ではない。そうでなくても間違った慰安婦合意を作ったとして『積弊』の烙印を押された外交部が、そのような意見を強く提示する立場でもない。また、誰であろうと外交部の意見に肩を持ったら『親日派』と言われるのが関の山だ」
この言葉が事実ならば明らかに問題だ。韓国政府はわずか3年前、隣国の報復の可能性に対する予測を読み誤った事例がある。2016年高高度ミサイル防衛(THAAD)配備決定を控えて中国の報復可能性が提起された。当時、朴槿恵政府の内部報告書の結論は報復の可能性が低いという方だった。「ニンニク紛争(2000年)の時とは違い、中国は世界貿易機関(WTO)加盟国になり国際規範を遵守する国になった」というのが政府が提示した理由だった。その後、どのような結果が起きたのかはすべての国民が見守ったとおりだ。
日本が報復カードを取り出して韓日関係が破局に突き進む事態を望む者は誰もいない。そのようなことが起きないように冷静な状況判断の下、韓日関係を再設定するための外交努力を傾けなければならない。折しも日本では新しい時代「令和」が始まろうとしている。
>>おわり。
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Source: おもしろ韓国ニュース速報