韓国グルメ復権の立役者・チーズタッカルビのブーム分析
チーズと唐辛子は極めて相性がよい
食のブームも紐解いてみれば様々な伏線に導かれていることが少なくない。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が分析する。
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チーズタッカルビの勢いが止まらない。2016年に新大久保の韓国料理店で売り出された後、写真映えする赤色×溶けたチーズのテクスチャーがインスタグラムで人気に火がついた。
2017年にはクックパッドの「食のトレンド大賞」にも選ばれ、今年も牛丼チェーンの松屋が1月に「チーズタッカルビ定食」を発売。5月には日本ハムがパッケージ化された「チーズタッカルビ」を、山芳製菓が『ポテトチップス チーズタッカルビ味』を発売するなどいまだその勢いはとどまるところを知らない。
一般的な「タッカルビ」は韓国の唐辛子みそ「コチュジャン」を味つけのベースに、鶏のもも肉に野菜などを加えて炒めた料理。それ自体、独特の甘辛さが後を引くが、そこにとろけるチーズを加えたことで、味にも見た目にもパンチが加わった。
実は近年、韓国本国でもチーズをかける料理は人気を博していた。例えば下味をつけた豚肉のスペアリブに唐辛子のピクルスなどが入ったチーズを溶かして絡める「チーズカルビ」や、餅を甘辛く煮込んだ「トッポギ」でもチーズトッピングは一般的になってきていたという。
唐辛子を日常的に使う韓国料理にとって、味をマイルドにしてくれるチーズは「出会いのもの」とも言えるほど相性がいい素材。そして実は逆も真なりで、チーズにとっても唐辛子、とりわけ韓国料理は「都合のいい」相手だった。
もともと韓国料理には、しっかりと塩味がついているし、一定の甘味が加わった料理も多い。チーズを合わせるとより味は濃くなる。それはうまさにもつながるが、翻ってみれば「こってり」「くどい」味わいにもなりやすい。そこで韓国料理特有の「辛味」がバランサー役を果たすのだ。
人間にとって塩は必要不可欠な成分であり、十分な量の塩分を摂取していれば、本来人の体はそれ以上の塩分を要求しないような仕組みになっている。ラットの実験でも食塩摂取が十分であれば高濃度の食塩水には嫌悪応答が生じるという結果が出ている。
ところが唐辛子に含まれるカプサイシンを同時に摂取すると、味神経に対する影響が出る。とりわけ顕著なのが、塩味への応答だ。タバスコ程度の高濃度カプサイシンを摂取すると塩味に対しての応答が有意に抑制される。一定以上のカプサイシンの辛味は、塩味を感じにくくしてしまうのだ。
考えてみれば、とろーりチーズと辛味という組み合わせは、ピザやパスタといった糖質や脂質たっぷりの脳が抗えない料理でもおなじみ。最近、新大久保界隈では、チーズタッカルビのほかチーズ入りのサムギョプサル、さらにはチーズ入りホットドッグなど、右も左もチーズ!チーズ!チーズ!の趣だ。
確かに新大久保の韓国グルメ復権の立役者はチーズに違いない。ただし、その食味や味覚のメカニズムを考えると、現在のチーズグルメ隆盛の土台は、韓国料理に常用される唐辛子が支えたという側面もあるのかもしれない。
不健康食品www
まぁ韓国ってだけで不健康か
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Source: おもしろ韓国ニュース速報