韓-日地域連帯は不可能なのか[世界の目/小此木政夫]

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新型コロナウイルス感染症(コロナ19)対策で、現在、日韓は明暗が分かれているようだ。 私は東京近郊の千葉県に住んでいるが、3月末から40日以上都心に出かけていない。 すべての会合が取り消され、自宅で読書と執筆に専念している。 韓国で明洞(ミョンドン)と弘益(ホンイク)大学前の人々が戻ってきた映像を見ると、とても羨ましい。

パンデミック(大流行)に直面し、世界各国は自国中心主義に大きく傾いた。 イタリアが深刻な事態に陥り、医療用マスクの支援を要請した際、ドイツやフランスは医療関連製品の輸出規制や在庫管理に入った。 欧州連合(EU)は地域連合としての役割を果たせなかった。 当初、楽観的な発言を繰り返したドナルド・トランプ米大統領も、8万人を超える犠牲者を前に、最近、中国の非難に専念している。

東アジアは米国と欧州ほど深刻ではない。 中国の武漢で拡散を阻止することに失敗した後、中国は強制的に事態を収拾した。 韓国は大邱(テグ)での混乱を迅速に収拾し、国会議員選挙を実施するなど模範的な成功事例になった。 日本の場合、遺伝子増幅(PCR)検査が十分でないなどの問題で苦戦しているが、それでも犠牲者の数は低い水準に抑制している。

さらに、海外に住む日本人が韓国のチャーター機に乗って帰国し、その逆のケースも頻繁に出ている。 最近、急性白血病を患っている5歳の韓国人女児が、インド・ニューデリーで日本航空の臨時便に乗り込んで羽田空港を経由して韓国に帰国し、話題となった。 カン・ギョンファ外交部長官が日本政府に感謝の意を表明した書簡も送った。

しかし「地域内の感染症拡大防止および克服に向けて両国が協力し続けよう」というカン長官のメッセージにもかかわらず、人道的な協力を医療協力に拡大することは容易ではない。 日韓の場合、協力する側にも、受け取る側にも高い障壁がある。

例えば、韓日通貨スワップは、双方が望む金融協力だ。 一方の通貨体制の安定は、他方の経済にも重要だからだ。 しかし日本側が「お金を貸す側が頭を下げるという話を聞いたことがない」と話したらどうなるか。 韓国側はプライドを捨て、協力を要請することはできないだろう。

2013年の南スーダンの失敗例もある。 国連平和維持活動(PKO)に参加する日本の自衛隊が、緊急事態に直面した現地韓国軍司令官の要請に応じ、銃弾1万発を提供した。 しかし、その善意は惨憺たる結果に終わった。 一部の韓国野党とメディアはまるで「陰謀」があるかのように非難した。 協力する側も非難に動じない「高品格の精神」が必要である。

初期対応に混乱があり、現在の日本ではPCR検査数が韓国の6分の1に留まり、検査キットだけでなく医療用マスクや防護服まで大きく不足している。 それにもかかわらず、日本政府が韓国に医療協力を要請することはなさそうだ。 日本自らの失敗が浮き彫りになり、韓国に利用されることを恐れているからだ。 日本国民もそう見ている。

しかし、今秋と予想される「2度目のコロナ19」流行に準備し、地域経済を再び活性化するためには、日中韓を中心とする東アジア地域連帯の構築が不可欠だ。 構築に成功すれば最も大きな利益を得るのは輸出依存度の高い韓国であり、失敗すれば最も大きな損害を受けるのも韓国だろう。 さらに、地域連帯を推進できるのも韓国だ。

コロナ19対応に成功して、総選挙で大勝したムン・ジェイン政権が経済危機打開を名分に掲げ、日韓関係の最大の障害を除去するのはどうだろうか。 徴用工問題、中でも日本企業の差し押さえ資産の現金化問題を韓国が自ら解決すれば、新しい連帯シナリオが動き出すだろう。 日本も柔軟に対応し、日韓通貨スワップの再開から韓国に対する輸出規制の緩和まで進むことができる。

もちろん、韓国の進歩政権にとって徴用工問題はノ・ムヒョン元大統領のイラク派兵の決定と比較するほど苦しい決断であろう。 しかし、昨年12月に中国の成都で、安倍晋三首相と会談した際、ムン・ジェイン大統領は「重要なのは解決策を見出すこと」「本質をめぐって論争をすることは問題をさらに難しくさせる」と話した。 その時の思慮深いリーダーシップに期待をかける。
 
小此木政夫慶応大学名誉教授

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Source: かんこく!韓国の反応翻訳ブログ