▲キム・ジンスIBS遺伝体矯正研究団長(元ソウル大学教授)=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社
世界トップクラスの科学者とされる元ソウル大学教授が、在職当時に数千億ウォン台の価値の世界的特許を自分が最大株主の会社に横流しした事実が明らかになった。ソウル大学は「業務上背任罪での告発が可能」という内部文書を作っておきながら1年間処置をせず、取材が始まってから「監査をする」と明らかにした。
7日、「ハンギョレ21」の取材結果と共に民主党のパク・ヨンジン議員室がソウル大学から受け取った資料を総合すると、キム・ジンス基礎科学研究院(IBS)遺伝体矯正研究団長は、2012~2013年のソウル大学在職当時、同僚たちと開発した「クリスパー・キャス9」(CRISPR/Cas9、以下クリスパー)遺伝子編集源泉技術と関連し、ソウル大学に虚偽の職務発明申告をし、自分の会社であるToolGenに特許を横流しした。クリスパー技術は遺伝子組換え生物の開発、難病治療などに利用することができ、世界的に注目されている。
ToolGenとキム元教授は、このように横取りしたクリスパーの特許で大きな利益を得た。ToolGenが2014年6月「KONEX」(中小企業向け株式市場)に初めて上場したとき、株式価値は一株当たり2100ウォン(約207円)に過ぎなかった。しかし、2015~2016年にクリスパー技術が国内外に特許登録されたことで株価が急騰しはじめ、7日現在は一株当たり12万5千ウォン(約1万2300円、時価総額約8千億ウォン=約800億円)にのぼる。キム元教授はToolGenの創業者であり、株式の21.3%を持つ最大株主だ。
キム元教授は、2016年に韓国研究財団が国内の基礎科学分野の研究者144人に聞いた結果、「ノーベル科学賞にもっとも近い韓国の研究者」の一人に選ばれた。
クリスパー技術は、細菌の免疫システムを利用し、細胞内の遺伝情報を自由に編集できる3世代の遺伝子編集技術だ。科学分野の代表誌「サイエンス」は「2015今年の革新技術」の1位にキム・ジンス元教授らのクリスパー遺伝子編集を選定した。
ソウル大学在職当時、キム元教授が開発したクリスパー技術は国民の税金で作られた。キム元教授チームは2010年から2014年まで韓国研究財団の創意研究事業として29億3600万ウォンの支援を受け、この技術を完成させた。「発明振興法」などによって国公立学校の教職員の職務発明または国家研究開発費を支援された職務発明の特許所有権は、当該研究者の所属機関の専従組織にある。これによってクリスパー技術に関連する特許の所有権は、ソウル大学の産学協力団にあるべきだが、実際には民間企業のToolGenが2012~2013年に米国・欧州・韓国・中国・日本・インドなどに単独で特許を出願した。
キム元教授は特許権がToolGenに行くようにソウル大学に虚偽の職務発明を申告した。彼がソウル大学の産学協力団に2012年11月16日提出したクリスパーの核心特許(出願番号61/717,324)に関連する職務発明申告書を見ると、韓国研究財団の支援を受けたという内容が抜けている。この研究には国民の税金が使われていないと虚偽申告したのだ。代わりに、自分の所有する民間企業ToolGenが100パーセント研究費を支給したように見せかけた。また、クリスパー技術開発と大きく関係のない2010年に行われた小型研究課題2件を持ち込んで職務発明申告書に書いた。キム元教授は「ハンギョレ21」に「韓国研究財団で支援した研究費とクリスパー技術開発は関係がない」と話した。
しかし、キム元教授の在職当時の研究室の事情をよく知る複数の関係者は「ハンギョレ21」とのインタビューで、「キム元教授がソウル大学に申告した職務発明の申告内容は完全に嘘」だと話した。彼らは「研究室は2012年夏、ジェニファー・ダウドナ(米国カリフォルニア大学バークレー校教授)がクリスパー技術を初めて発見した後になってクリスパー研究を始めた。当時、(キム教授チームの)クリスパー研究に投入された研究費は全て韓国研究財団が支援した金」だとし、「研究費の使用内訳を調査すればすぐに明らかになるだろう」と話した。
(後略:ソウル大学の対応)
ピョン・ジミン「ハンギョレ21」記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/861184.html
韓国語原文入力:2018-09-07 22:29 訳M.C
ソース:ハンギョレ新聞日本語版<「ノーベル賞級科学者」元ソウル大学教授、数千億ウォン台の特許を横領>
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/31580.html
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Source: おもしろ韓国ニュース速報