2018年3月29日05時00分
津田大介=メディア
△FACTA編集部「『森友』地獄に堕(お)ちた財務官僚」(FACTA4月号)
3月2日に朝日新聞がスクープ報道を行った森友文書問題を論壇誌で大きく扱ったものは締め切りの関係上なかった。朝鮮半島情勢も3月に入って大きく動いたため、文藝春秋の特集もタイムリーなものではなくなっている。
そんななか、20日発売の『FACTA』のこの記事は、ギリギリ最新の情報を入れ込み、人事の観点から全体構図を読み込むものになっており、森友文書問題を巡る、現時点で最良のテキストの一つだ。月刊誌を定期購読している読者は、本が届く2日前からウェブサイトで記事全文が読めるようにしているのも、月刊誌の弱点を補っており、こうした取り組みも含めて興味深い。
△高久潤、田玉恵美「ケント・ギルバート氏の中韓本、売れる理由は」(朝日新聞、3月6日朝刊)
出版業界のマーケティングという側面から昨年最も売れた新書であるケント・ギルバートの『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』のヒットの理由を分析してネットで話題になった。担当編集者から「新橋で周りの客が中国人や韓国人への違和感を語っているのを聞き、企画を思いついた」「日本人は白人から言われるのに弱い。同じことを日本人が言うより、白人のギルバートさんが言う方が説得力が増すと考えた」というコメントを取っているところがミソで、著者にも担当編集者にも本を出すことが差別につながる、あるいは差別を固定化するという意識が希薄であることをあぶり出している。構造的には先月話題となった三浦瑠麗の「スリーパーセル発言」問題と非常に似ている。「論壇」の衰退と裏腹に、こうした「差別ではなく、一つの見方を提示しているだけ」という論者が、テレビや新聞、ネットで重用されるようになり、それが商業的な結果にもつながっている。残念ながらそれが日本のメディアの現在地だ。
△「もう縦スクロールって疲れません?」(ワカモノのトリセツ=ウェブ、3月8日)
今時の大学生がどのように情報を受容しているのかということを知る上で参考になる。スマホですべての記事を読み、レポートを書く彼らにとって、「長文の縦スクロールコンテンツ」はストレスでしかない、という指摘だ。いま彼らがメインで受容しているコンテンツは、インスタグラムやフェイスブックのストーリーか、あるいは自動で動画が流れ続けるユーチューブなのだという。いちいち親指でスクロールせずに、時間で自動的にコンテンツが切り替わる(あるいは1タップで興味のないコンテンツをスキップできる)ことに慣れているため、長文のコンテンツをスクロールすることが苦痛になるそうなのだ。すべてが「スナップチャット」化し、情報がフローになっていくということなのだろう。そうなると、既存のメディアがこうした若年層のニーズに応える情報発信をしていくべきなのかどうかという問題が出てくる。従来のようにストック情報ビジネスと割り切るのか、フロー情報にも力を入れていくのか、既存メディアの経営陣には、大局的な視点で戦略を立てることが求められる。
https://digital.asahi.com/articles/ASL3V3WM6L3VUCVL00B.html?rm=217
相手のことをよく知ることの何が悪いんだ?
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Source: おもしろ韓国ニュース速報