「大学は出たけれど」。就職できない大卒者の姿を描いた小津安二郎監督による昭和4年公開の映画だが、これをほうふつさせるのが今の韓国だ。2017年の大卒以上の高学歴者の失業率が高校卒の失業率を上回ったという。文在寅(ムン・ジェイン)政権は雇用の創出を重要な政策課題としているが、就職難は悪化の一途。「ヘル(地獄)朝鮮」と自虐的に語られる韓国の若者の生きづらさは隣国の日本からみても痛ましい。
「家に一人でいると、ふと『こんな生き方でいいのだろうか』と思う」。中央日報は、昼夜が逆転した生活が1年以上続き、鬱病と診断された26歳の大学生の声を伝えている。同紙によると、韓国では20代の鬱病患者が12年の5万2793人から16年は6万4497人と22.2%増えた。60代以上の増加率(20%)より高い。症状が悪化し、自ら命を絶つ人も増えているようだ。20代の死因で最も多いのは自殺で、16年の全体の自殺率は低下したが、20代は横ばいだった。
そもそも韓国の自殺率は03年から経済協力開発機構(OECD)加盟国中ワースト1位で、1日平均36人、年間1万3092人(16年ベース)が命を絶っているという。背景には、就職難の影響もある。聯合ニュースによると、韓国統計庁が発表した17年の失業率は3.7%で、前年と同じだった。一方で、若年層(15~29歳)の失業率は9.9%と、統計が現行基準となった00年以降で最も高くなった。
中央日報によれば、17年の大卒以上の高学歴者の失業率は4.0%で、高卒の失業率3.8%より0.2ポイント高かった。大卒以上の失業率が高卒を上回ったのは00年以降で初めて。統計庁は「社会全般の高学歴化と大卒以上の求職者の希望の高さの問題が複合的に作用したためとみられる」と説明した。大卒以上の失業者数は50万2000人で、全失業者102万8000人の半分近くを占める。15年に42万5000人だった大卒以上の失業者数は16年には45万6000人に増えていた。
韓国銀行(中央銀行)が発表した17年の国内総生産(GDP)成長率は前年比3.1%(速報値)だった。民間消費が緩やかに回復する中、企業の設備投資が大幅に増え、成長率は3年ぶりに3%台となった。経済が回復してきているにもかかわらず、就職難が深刻さを増しているのはなぜか。そこには、韓国特有の価値観も影響しているようだ。韓国は苛烈な競争社会で、受験戦争の激しさで知られる。一流大学を卒業して大企業に就職するのが理想とされ、そうでなければ脱落者とみなされかねない空気があるという。
だが、サムスン電子やLG電子、現代自動車など大手財閥系企業に就職できるのは、ほんの一握り。こうした企業への執着が「厳しい受験戦争に勝ち抜いても就職さえできない」という若者を多数生み出している側面は否めない。一方、日本の雇用情勢は韓国とは対照的だ。厚生労働、文部科学両省の発表によると、今春卒業予定の大学生の就職内定率は昨年12月1日時点で前年同期比1.0ポイント増の86.0%と、この時期としては調査が始まった1996年以降の最高を更新した。7年連続の上昇だ。
厚労省の担当者は「景気が緩やかに回復し会社の採用意欲が高まっていることや、人手不足の中、人材確保のために企業が内定を出す時期を早めていることが要因と考えられる」としている。
経団連は、韓国の大学生を対象にした日本企業の就職セミナーを今春にも韓国・ソウルで開く。韓国の優秀な大学生を日本企業が雇い入れれば、日本の人手不足と韓国の就職難が「わずかでも改善できる」(関係者)との期待がある。経団連は、韓国の経済団体「全国経済人連合会(全経連)」と共同でセミナー開催に向けた作業に入った。日本で働くケースのほか、現在は中途採用が大半を占める日本企業の韓国子会社や支社などで、大学・大学院の新卒者採用を増やす考えもある。既に日本で就職した韓国の若者の満足度は高いそうだ。
以下ソース
By クネ
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Source: おもしろ韓国ニュース速報