虚偽の情報(デマ)を流す行為は、そもそも許されない。ましてや、震災で人々の心理が不安定になっているのに乗じ、不安をかき立てる卑劣な行いをけっして見過ごしてはならない。
大阪府北部を震源とする地震の発生後、ツイッターなどSNSを通じて、さまざまなデマがネット上を飛び交っている。
「○○電車が脱線」といった偽情報は、当の事業者が否定するなどして静まっていった。
深刻なのは、在日外国人を標的に差別や偏見をあおる投稿が相次ぎ、拡散されていることだ。
在日コリアンなど特定の民族をあげて「犯罪に走るから気を付けなよ」と書き込む。
地震による重要文化財の破損を「外国人の可能性も」と記す。
ネットの匿名性を隠れみのに、根拠のない情報が広がった。
11年3月の東日本大震災や16年4月の熊本地震の後にも、特定の民族を対象とする悪質なデマが出回った。
外国籍の人が多く暮らす大阪での地震を巡り、愚かな振る舞いが繰り返されたことに怒りを禁じ得ない。
熊本地震の後、ヘイトスピーチ対策法が施行されて約2年。
差別的な言動を許さないとうたったものの罰則がなく、今回、歯止めにはならなかった。解消への取り組みを着実に積み重ねていかねばならない。
まずは、SNSの運営会社である。
利用規約でヘイトを助長する投稿を禁じ、要請や通報に応じて悪質な投稿を削除する例も見られる。
表現の自由に配慮しつつ、これまでの蓄積を生かして迅速な対応に努めてほしい。
大阪府は今回の地震の発生当日、公式ツイッターやホームページなどで「事実と異なる情報が発信、拡散されています」「未確認の情報をむやみに拡散しないで」と呼びかけた。
法務省人権擁護局も公式ツイッターなどで注意喚起した。
在日コリアンでつくる「コリアNGOセンター」(大阪)の金光敏(キムグァンミン)事務局長は「自治体の防災対策にデマへの対応も盛り込むべきでは」と提案する。
被災後の要員確保など課題はあるが、行政が姿勢を示し、準備しておくことは有効ではないか。
震災時のデマによる混乱は、ネットが発達した今に限った事象ではない。
95年前の関東大震災で、デマを信じた民衆や官憲が大勢の朝鮮人、中国人を虐殺した史実を忘れてはならない。
過去に学び、「ヘイトスピーチは許さない」という認識を共有する。
問われているのは、社会をともに生きる一人ひとりの意識と行動である。
おしまい
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Source: おもしろ韓国ニュース速報